逸話の多い人物

こんにちは

おおきまちの司法書士です。

GWの週も先週で終わり、今週から約2カ月間は

祝祭日のない日々が続きます。

昔、ドラえもんのマンガの中で、のび太が6月は

祝日が一つもない憂鬱な月であるとぼやいていたのを

ふと思い出しました。


さて、今回は久々におすすめの本の紹介です。

最近本を読むペースが落ちていますが、近頃は

吉川英治の本を集中的に読んでいます。

平将門は桓武平氏の6代目(5世)ですが、れっきとした平氏です。

関東の下総の国(現在の千葉県)を領土としていた武士

ですが、生立ちはなかなか不運です。

将門の若いころに親が亡くなり、領土のほとんどを

叔父たちに奪われ、厄介払いのために半ば無理やり

京都に留学させられます。


本作品では将門を純朴な性質の人間として描いていますが、

朝廷やかつて仕えた藤原忠平へあてた文書からもそのような

人物であったと推測されます。


平将門と言うと、中学高校の日本史の教科書では

平安時代に藤原純友と同時期に中央政権に反旗を翻した

程度の記載しかありません。


平将門の乱(承平天慶の乱)の原因については諸説

あるようですが、本作品では親族間の争いに源氏も

巻き込み、なぜか近隣の国々も巻き込まれ知らぬ間に

騒ぎが大きくなった感じに書かれています。


武士同士の争いであれば中央政権への反乱にはならない

はずですが、なぜか後半では中央の出先機関である国衙

を襲撃したり、と良くわからない行動をとっています。


従兄弟にあたる平貞盛が、中央で暗躍して将門を朝敵に

仕立て上げた感じもあり、反乱の動機のようなものが

見えにくくなっています。


それが原因かどうかはわかりませんが、将門の評価は

1000年の間に揺れ続けます。

江戸時代前までは朝敵、江戸時代では朝敵ではないと

され、明治に入って再び朝敵、昭和の後期にはまた

再評価という具合です。


様々な伝説や逸話の多い平将門ですが、今になってようやく

本作品を読み、一端に触れた気がしました。

クライマックスは、まさに巨木が倒れる感じになっています。

今までのなんだったんだと言う終わり方ですが、

実際、乱を起こしてから2ヶ月足らずで討伐されていますので、

このような終わり方になるのだと思います。


将門に討たれた叔父たちは、まさに因果応報的な印象を

受けますが、報復に対して報復で返すと連鎖が行きつく先まで

行かないと止まらなくなります。

これは現代の世界情勢でも、同様の事が言えるかもしれません。

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