成年被後見人の不動産の売買

こんにちは

おおきまちの司法書士です。


先日、1年半くらいかかっていた案件がひとつ無事終了しました。

とある方の成年後見人に就任したのが約2年前。

その方は不動産を相続していますが、遺産分割協議は未了でした。

病院に長年入院しており、退院のめどもない状況では、不動産

は管理が大変になります。


遺産分割の中で、不動産を相続せずに現金で代償金をもらえれば

本人の財産管理の観点からも現金・預貯金が増加するので

望ましいのですが、相続財産は不動産しかありませんでした。


法定相続分を相続したものの、この不動産は本人にとっては

特に必要なものでもありません。

相続した不動産の中を調べてみると、所々床がたわんでいたり、

天井の一部分には雨漏りのあとがあり、現状ではとても住めるような

状況にないため、この不動産については売却の方向で決めたのが約1年半前。


戸建にしては中途半端に広かったり、境界が定まっていなかったり

と様々な問題あり、なかなか売れなかったのですが、

先日ようやく売却となりました。


司法書士は不動産登記のプロですので、不動産の所有権移転

については日常的にしていますが、法定代理人として売主に

なることはやはり稀です。

司法書士が司法書士から本人確認と意思確認をされると言うのも

なかなか経験するものではありません。


破産関連で管財人による任意売却であれば、印鑑証明書は

裁判所に届けている印鑑証明書で足りるのですが、

成年後見に着いては裁判所への印鑑の届け出と言う制度は

今のところありません。

そのため、成年後見人として個人の印鑑証明書を添付する

事になるのですが、業務として行っているにも関わらず

個人の印鑑証明書を必要とされるのはなんとなく腑に落ちません。


成年後見は始まってまだ14年です。

以前は禁治産・準禁治産と言う制度がありましたが、

それから見ると柔軟な運用ができているとは言え、

医療行為の同意や死後事務に関して等、様々な問題点が

あるのも事実です。

これからもっと使い勝手の良い制度になって行けばなぁ

と思います。


交通事故の人損の部分についてのご紹介も途中ですが、

成年後見での居住用不動産については裁判所の許可が

必要となり、その点についてもぜひ触れておきたいので

次回も引き続き成年後見についてご紹介します。

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