はじめての登記申請

こんにちは

おおきまちの司法書士です。

今日は九州に台風24号が接しているため、

風が非常に強くなっています。

久しぶりに事務所の看板を屋内に避難させました。


さて、今回は登記に関する業務について少しお話しします。

実務的な話と言うよりも、昔話になります。

今から10年くらい前に、生まれて初めて法務局で登記申請をしました。

ここで、ピンときた方は本当にすばらしいです。

私のプロフィールをしっかり読んでいただいてます。

ありがとうございます。


10年くらい前は、私はそもそも司法書士ではありませんでした。

ちょうど受験勉強を始めた頃です。

不動産登記について勉強を始めたばかりでしたが、

受験勉強での書式と実際の登記申請書の違いが気になりました。

司法書士試験は実務と直結している内容なため、合格者なら

少し勉強すれば簡単な実際の登記申請はすぐに出せるようになります。


そこで、当時の私は現時点での勉強の進捗の確認をするために

実際の登記申請をしたいと思うようになりました。

ここでもピンときた方は、ある意味最高の洞察力をお持ちです。

そうです、司法書士法にはこう言う規定があります。


司法書士法第73条第1項ですが、以下のような記載となっています。

「司法書士会に入会している司法書士又は司法書士法人でない者(協会を除く。)は、

第三条第一項第一号から第五号までに規定する業務を行つてはならない。

ただし、他の法律に別段の定めがある場合は、この限りでない。」

第3条1項1号に、登記業務が明記されているため、

ざっくりと言って司法書士でないものが登記業務をしては

ならない、と言う規定です。

例外は土地家屋調査士と弁護士が業務としてできます。

他の士業は、登記にどれだけ詳しくても業務としてはできません。


ではなぜ一介の受験生が登記申請をすることができたのか?

これは「業務」として行っていないからです。

ちなみに、業務と言うのは反復継続して司法書士の仕事をすることです。

有償無償を問いませんので、友人・知人たちから広く

登記の委任を受けて申請をするというのは業務にあたります。

この場合、通称非司行為に該当しますので、罰則の対象です。


登記の内容は、抵当権抹消でした。

親がちょうど住宅ローンを完済して、銀行から書面を

もらったけど、どうしたら良いのか聞いてきました。

受験生をしていて、抵当権抹消をする素材がそろっている・・・

これは自分で登記を出すしかないでしょう。

いつやるか、今でしょう!というタイミングです。


また項を改めて記載しますが、売買や抵当権設定等の

現状に変更が生じるような登記については、関係する

不動産業者や銀行が全力で拒否しますので、そこは

抵抗しないようにしましょう。


なんとか自力で登記申請書を作りました。

当時は横書きでなく縦書きだったため、ワードの使い方が

面倒だったと記憶しています。

なんとか作りあげ法務局に行き、申請をする前に相談コーナーで

事前チェックを受けました。

記載のミスはなかったのですが、割印が必要だったのを失念していました。

それ以外は修正はありませんでした。

そして登記申請をし、補正があれば連絡しますと告げられました。

補正の電話はかかって来ず、完了しているであろう日を少し

過ぎてから法務局に行くと、書面が帰ってきました。


これだけでは抹消されているかどうか不明なので、

登記事項証明書を取得します。

これで対象不動産の抵当権が抹消できているかが確認できます。

抹消できていることが確認できると、すごく安心しました。


今では「自分でできる不動産登記」や「相続登記を自分で出そう」

と言った内容の情報がネット上でも容易に見つけられます。

ただ、10年前にはそのような情報はほとんどなく、

自力で調べて作りあげる必要がありましたので、

初めての登記はとても感慨深いものでした。


今では司法書士になって久しいので、登記業務は当たり前の

ようにしていますが、ミスなく正確かつ迅速に手続きを進める

ために司法書士が存在するのだと思います。